研究大会のご案内
日本特別ニーズ教育学会第30回記念研究大会 最終案内
日本特別ニーズ教育学会第30回記念研究大会の最終案内をさせていただきます。今大会は、5か所の見学ツアー、課題研究・準備委員会シンポジウム・自由研究発表・若手チャレンジ研究会・ラウンドテーブル57件というように内容豊かな構成になっております。懇親会も準備しております。多くの会員の皆様のご参加を、大会準備委員会・スタッフ一同お待ちしております。
さて、今大会の第一の特徴は、何よりも第30回記念研究大会ということです。その記念行事としてシンポジウム「なぜ日本特別ニーズ教育学会を設立したのか:学会創設のレジェンドが語る」を企画しています。日本特別ニーズ教育学会会員も大きく世代交代して、30年前の学会設立について知らない会員が大半であり、本学会創設の歴史的意義・役割について明らかにし、継承していく必要があります。30年前の学会創設に深く関わった会員の方々にご登壇いただき、なぜ日本特別ニーズ教育学会を設立したのか、その歴史的意義・成果や今後の展望について明らかにしていきたいと思います。
第二に、本学会は設立当初から当事者の視点、当事者の参加、当事者の研究発表が大きな特徴でしたが、今回も多くの当事者の方々が参加して、研究発表をされます。その最たるものが、革新的な研究・実践に取り組む専門家とともに当事者の方々をシンポジストにお迎えして開催される、課題研究シンポジウム「当事者の視点から探る知的障害者の「学び」の本質と知的障害教育の課題」です。ぜひ、ご期待ください。
第三に、2018年の第24回研究大会(大阪体育大学)にならい、「日本特別ニーズ教育学会第30回記念研究大会前日プログラム」を設定いたしました。本企画は、普段なかなか行くことが難しい日本の特別ニーズ教育・特別支援教育に関わる主導的な教育機関・研究機関等への見学ツアーを実施し、第一線で活躍する研究者・専門家との出会い・交流も含めて、参加者の研究的視野を拡げる学習機会とするものです。
第四に、会場校の日本大学文理学部は1901年開設の高等師範科(のち高等師範部)が起源で、中等教育の教師教育・教員養成に120年以上の歴史・伝統を有しており、そのリソースに基づき、昨年2023年度に文理学部教育学科に「特別支援教育課程(特別支援学校教員養成課程)を開設しました。老舗の私立大学らしい特別ニーズ教育の研究・教育をどのように創造し、実践していくのかを探るために、教育学科と社会福祉学科のコラボレーション企画として準備委員会シンポジウム「特別ニーズ教育と福祉・医療との結節点」を設けました。
最後になりましたが、本大会のプログラム企画・準備・実施にあたり、多大なるご協力を賜りました日本大学文理学部教育学科のほか、多くの皆様に心より御礼申し上げます。明日からの教育実践・研究に希望と展望を見出していただけることを祈念して、挨拶とさせていただきます。
日本特別ニーズ教育学会第30回記念研究大会準備委員会
委員長 髙橋智(日本大学文理学部教育学科)
引き続き参加申し込みを受け付けています → Peatixサイト https://peatix.com/event/4034886
NEW!参加申し込み締め切りを10月18日(金)17:00まで延長しました。当日参加はありません。
大会日程
日 時
前日プログラム:2024年10月18日(金)
研究大会:2024年10月19日(土)・20日(日)
会 場
日本大学文理学部3号館5階
〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40
京王線「下高井戸駅」および「桜上水駅」下車、徒歩7分
※上記添付PDFをご参照ください。
会場図
大会参加者へのご案内
1.受付:19・20日の受付は8:30より行います。18日の詳細は別途お知らせいたします。
2.クローク:クロークは設置しませんので、荷物は各自で管理してください。
3.昼食:キャンパスに向かう途中にコンビニエンスストアや飲食店があります。ぜひ事前にご用意の上、ご来場ください。2日目「学会設立30周年記念シンポジウム」はランチセッションとなります。お食事を各自ご用意の上、召し上がりながらご参加いただけます。
4.駐車場:キャンパスおよび前日プログラム会場に駐車スペースがありませんので、必ず公共交通機関等にてお越しください。
5.その他
各会場において、学会・研究大会記録用として担当者が写真・動画等の撮影を行う場合があります。撮影した写真などは、研究大会報告や会報に使用することがございます。予めご了承ください。
自由研究発表・若手チャレンジ研究会・ラウンドテーブルの発表者・登壇者へのご案内
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発表者・登壇者はセッション開始20分前までに参加受付をお済ませください。
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開始前に発表に関する諸注意等のご案内をいたします。
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研究発表者は開始前にPC等の動作確認を行ってください。プロジェクターとの接続端子は HDMI 端子となりますので、ご注意ください。
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自由研究発表の発表時間は1演題ごとに発表15分、質疑5分です。
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若手チャレンジ研究会の発表時間は1演題ごとに発表15分、コメント・質疑10分です。
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会場ではプロジェクターの使用が可能です。パソコンを使用される場合はご持参ください。
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補足資料の配布が必要な場合は、事前に発表者が必要部数(各自判断)をご用意してください。会場で印刷を行うことはできません。
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課題研究関係者へのご案内
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関係者は開始前にシンポジウム開始前に打ち合わせを行います。打ち合わせ時間と会場は後日、担当者よりご案内いたします。
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会場ではプロジェクターの使用が可能です。パソコンを使用される場合はご持参ください。プロジェクターとの接続端子は HDMI 端子となりますので、ご注意ください。
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当日、会場で印刷を行うことはできませんので、事前にご準備ください。
プログラム詳細
2024年10月18日(金)
前日プログラム 見学ツアー
10月18日(金)10:00~11:30/13:30~15:30
東京都立松沢病院「日本精神医学資料館」見学ツアー 10:00~11:30
東京都立松沢病院「日本精神医学資料館」は、日本の公立精神病院で2番目に古い歴史をもつ「東京府癲狂院」を前身とする東京都立松沢病院の夜間救急診療室と保護隔離病棟を資料館としています。資料館の中には当時の精神病院で行われていた治療器具や実際の保護隔離病棟をそのまま残したものなどが展示されています。当日は館長により松沢病院の歴史や資料館の展示を説明していただきます。
【担当・同行理事】石井智也(兵庫教育大学学校教育研究科)
【アクセス】〒156-0057 東京都世田谷区上北沢2丁目1−1 *京王線「八幡山駅」より徒歩5分
筑波大学附属視覚特別支援学校および資料室・常設展示室 見学ツアー 13:30~15:00
筑波大学附属視覚特別支援学校はわが国唯一の国立大学法人の視覚特別支援学校であり、「視覚障害教育のナショナルセンター」ともいえます。幼稚部、小学部、中学部、高等部および高等部専攻科を擁し、敷地内に寄宿舎を併設しています。筑波大学附属視覚特別支援学校は、1875(明治8)年 に盲人教育のために楽善会が発足し、1876年(明治9年)に東京府知事により訓盲院の設立の許可を受けて「楽善会訓盲院」として設立されました。 その後、「楽善会訓盲唖院」「東京盲唖学校」と名称が変更となり、1910年(明治43年)に「東京盲学校」として現在地に移転しました。
筑波大学附属視覚特別支援学校の資料室・常設展示室には、日本における凸字以前の盲人用符号文字、日本における凸起文字、教授用凸文字教科書針文字、外国の点字、「日本訓盲点字翻案完成苦心のあと」、点字初歩説明器、点字盤、タイプライター等の展示がなされています。
【担当・同行理事】池田敦子(東海学院大学人間関係学部)
【アクセス】〒112-0015 東京都文京区目白台3丁目27-6 地下鉄有楽町線「護国寺駅」より徒歩8分
滝乃川学園石井亮一・筆子記念館 見学ツアー 13:30~15:30
滝乃川学園は、濃尾震災による罹災孤児の保護と教育を目的に、1891年に開設された孤女学院を母体とし、1897年に至って知的障害児に関する研究・教育、そして生活支援をおこなう施設に転換し、現在の名称である滝乃川学園に改称いたしました。以来、日本で最初に知的障害児の学びの場と生活の場を創った施設として、わが国の知的障害児教育・福祉の発展に貢献してきました。
概要説明の後、石井亮一・筆子記念館、礼拝堂(天使のピアノ)等をご案内いただきます。石井亮一・筆子記念館1階の旧・教室部分は、石井亮一・筆子の遺品や学園が保有する史料の展示コーナーになっています。2階は中央部に大講堂があり、学園の行事や講演会、研究会、公開講座等、多目的に利用されています。
【担当・同行大会支援委員】石川衣紀(長崎大学教育学部)
【アクセス】〒186-0015 東京都国立市矢川3-16-1 *JR南武線「矢川駅」より徒歩10分
東日本少年矯正医療・教育センター/東京西法務少年支援センター見学ツアー
13:30~15:30
東日本少年矯正医療・教育センターは、関東医療少年院と神奈川医療少年院を移転・統合して、2019年4月 1日に設立された少年院です。少年院は家庭裁判所から保護処分として送致された少年に対し、犯罪的傾向を矯正し、健全な育成を図ることを目的として矯正教育を実施するとともに、16歳に満 たない少年受刑者についても16歳までの間、矯正教育を行うことができる施設です。
矯正教育は、犯罪的傾向を矯正するとともに、健全な心身を培わせ、社会生活に適応するのに必要な知識、能力を習得させることを目的とするもので、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導の5つの指導に区分されています。東日本少年矯正医療・教育センターでは、各在院者の病状や発達障害その他特性に応じ、社会生活 に必要な基本的生活習慣や生活技術、対人スキルを体得させるための働き掛け、基礎学力の付与など、個に応じた指導を行っています。
https://www.moj.go.jp/content/001393633.pdf
東京西法務少年支援センターは、2019年4月に八王子市(旧八王子少年鑑別所)から昭島市に移転しました。少年鑑別所法第131条に基づき、児童福祉機関、学校・教育機関などの青少年の健全育成に携わる関係機関・団体と連携を図りながら、地域における非行及び犯罪の防止に関する活動や健全育成に関する活動などに取り組んでいます。具体的には、能力・性格の調査、問題行動の分析や指導方法の提案、こどもや保護者に対する心理相談、事例検討会等への参加、研修・講演、法教育授業等の支援を心理学等の専門家が行っています。
【担当・同行理事】内藤千尋(山梨大学大学院総合研究部教育学域)
【アクセス】〒196-0035 東京都昭島市もくせいの杜2-1-3 *JR青梅線「東中神駅」より徒歩15分
日本科学未来館アクセシビリティラボ 見学ツアー
13:30~14:30、解散後自由見学
浅川智恵子日本科学未来館館長の日本科学未来館紹介メッセージ:「日本科学未来館は、最新の科学技術の知識を得るだけでなく、あらゆる人々がともにより良い未来をつくるためのプラットフォームです。人工知能やバイオテクノロジーなど科学技術の進化によって、新しい社会が開かれようとしています。一方で、人為起源の気候変動をはじめとする地球規模の課題は深刻になっています。科学技術がもたらす便利さをただ受け入れるだけでは、より良い未来は決してやってきません。日本科学未来館というプラットフォームでは、あらゆる人たちが立場や場所をこえてつながります。そこで幅広い科学技術を体験し、未来の社会を想像し、よりよい未来に向けた行動を始めることができるでしょう。そして、その中から新しいアイデアやイノベーションが生まれることを目指しています。そのために、私たちはダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂性)を大切にし、さまざまな科学コミュニケーション活動を積極的に進めています。ともに未来をつくっていきましょう」。 https://www.miraikan.jst.go.jp/aboutus/directors/
科学技術は障害者の生活を一変させてきました。今や音声合成やモバイルデバイスは、就労や教育など視覚障害者の日々の生活に欠かせない技術です。日本科学未来館アクセシビリティラボは、先進的なAIやロボティクスの技術を持った企業や大学と協業して、視覚障害者が街を自由に移動し、身の回りの情報を認識し、自立して生活するための技術を生み出すコンソーシアム型研究室です。こうした技術を、未来館をフィールドとして来館者に体験していただき、可能性と課題をともに考えることで、近未来の社会実装を促進します。https://www.miraikan.jst.go.jp/research/AccessibilityLab/
日本科学未来館アクセシビリティラボにて、AIスーツケースをはじめ触れる展示などの研究開発中のものを紹介していただき、実際に体験します。入館料は別途必要です。解散後は自由見学となります。
【担当・同行理事】能田昴(秋田大学教育文化学部)
【アクセス】〒135-0064 東京都江東区青海2丁目3番6号
*新交通ゆりかもめ「テレコムセンター駅」より徒歩4分
2024年10月19日(土)
開会セッション
10月19日(土) 9:00~9:55 3号館5階 3505教室
司 会: 田中謙(準備委員会事務局長・日本大学文理学部)
準備委員長開会挨拶 髙橋智(日本大学文理学部)
日本大学文理学部長歓迎挨拶 岡 隆((日本大学文理学部)
学会事務局長による学会30年の動向紹介 内藤千尋(山梨大学大学院総合研究部教育学域)
若手チャレンジ研究会1 教育講演
10月19日(土)10:00~11:00 3号館5階 3507教室
「教育史研究の課題と方法」
講 師: 田中謙(日本大学文理学部教育学科)
司 会: 栗山宜夫(育英短期大学・若手チャレンジ研究会担当理事)
趣 旨:
本報告は、特別ニーズ教育に関わる歴史研究の課題と方法に関して、現代史研究を事例として話題提供を行うものである。なお、歴史学における日本現代史は主に第二次世界大戦期以降の戦後日本を取り扱うことから(小澤・田中・水野,2015)、本報告も主に戦後日本の特別ニーズ教育に関わる報告者の研究を中心に話題提供を行うこととする。
話題提供者はこれまで、大別して4つの戦後日本における特別ニーズ教育に関わる歴史研究を行ってきた。当日の話題提供は、話題提供者の実際の分析作業等を紹介しながら、日本特別ニーズ教育学会において歴史研究の裾野を広げるための取組について、参加者と論議していきたい。
(1)戦後日本の障害幼児支援に関する東京都における幼児グループから通園施設・事業への展開過程の解明
(2)戦後日本におけることばの教室・幼児ことばの教室に関する歴史的展開過程とその原動力の解明―北海道を事例に―
(3)戦後日本の幼稚園、保育所における障害児保育事業の展開過程の解明
(4)戦後「日本療育史」の解明
若手チャレンジ研究会Ⅰ 準備委員会・理事会研究委員会連携企画セミナー
10月19日(土)11:00~12:00 3号館5階 3507教室
学術研究の成果をどのように出版するのか:学会文献賞受賞者に聞く
趣旨: 理系は有力な国際学術ジャーナルへの論文掲載が研究業績の中核ですが、教育学を含めて人文・社会科学系においては学術書の出版もまた大きな研究業績となります。そうした学術書の中には学界だけでなく、社会にも大きなインパクトを与えてきた著作も少なくありません。
しかし、近年の科研費刊行助成の縮減や出版不況等により、学術書の刊行が極めて困難になっている現状があります。そうした状況に対して、本学会としても研究者の学術書刊行のモチベーションを支えるために、2021年に「文献賞」を創設して、微力ながらも学術書刊行の奨励に取り組んできました。今年ですでに4回目の文献賞授賞(授賞者数:14名)となっております。
さて今回、準備委員会と理事会研究委員会の連携企画により、授賞者の方々にご依頼して、セミナー「学術研究の成果をどのように出版するのか」を開催することとしました。厳しい出版情勢であるからこそ、特別ニーズ教育分野において学術書刊行をめざしている若手から中堅・ベテランまでの多くの会員の方々のご参加をお待ちしております。
企画・司会:髙橋 智(日本大学文理学部・準備委員長)
松崎保弘(くらしき作陽大学子ども教育学部、理事・研究委員長)
話題提供:
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羽山裕子氏(滋賀大学)『アメリカの学習障害児教育―学校教育における支援提供のあり方を模索する―』(京都大学学術出版会、2020 年)を刊行して
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阪本美江氏(芦屋大学)『「劣等児」特別学級の思想と実践』(大空社出版、2016 年)および新版『「劣等児」「特別学級」の思想と実践』(大空社出版、2021 年)を刊行して
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眞城知己氏(関西学院大学)『イギリスにおける特別な教育的ニーズに関する教育制度の特質』(風間書房、2017 年)を刊行して
自由研究発表Ⅰ 10月19日(土) 10:00~12:00
自由研究発表1 (3号館5階 3510教室)
座長 能田昴(秋田大学)
伊藤駿(京都教育大学)
1. 障害者が地域での生活を創り出す過程に内包された学習に関する検討
―埼玉県の障害者団体「わらじの会」の運動に着目して―
長岡甫(名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士前期課程)
2. 北海道における高等養護学校の設置に関する歴史的研究
―札幌養護学校が果たした役割に焦点をあてて―
佐野博己(静岡県教育委員会事務局)
3. 米国におけるインクルーシブな大学教育政策の推進
―知的障害者を対象としたCTPが与えた影響―
水野和代(日本福祉大学スポーツ科学部)
4. 知能検査法開発のフロンティア
―アルフレッド・ビネとテオドール・シモン研究の現在―
〇石川衣紀(長崎大学教育学部)
髙橋智(日本大学文理学部)
5. 「子ども被災・救済の特別ニーズ教育」創成の課題と展望
〇能田昴(秋田大学教育文化学部)
田部絢子(金沢大学人間社会研究域学校教育系)
髙橋智(日本大学文理学部)
自由研究発表2 (3号館5階 3509教室)
座長 野口武悟(専修大学)
加茂勇(新潟市立木戸小学校)
1. 公正な教育実践に伴う教員の葛藤
―支援対象の決定プロセスに着目して―
秋山みき(大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程)
2. 障害児と健常児が「ともに学ぶ」教育実践事例の一考察
―肢体不自由児のリレーへの参加をめぐる教育実践のエピソード分析から―
中田崇彦(神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士後期課程)
3.共同研究(1)インクルーシブ教育の実践的研究:特別支援学級、通常学級のそれぞれの課題―特別支援学級における担任の思いと授業方法の創造―
〇加茂勇(新潟市立木戸小学校)
石垣雅也(近江八幡市立岡山小学校)
横江真理子(SKCキッズカレッジ)
深川美也子(SKCキッズカレッジ)
窪島務(滋賀大学名誉教授)
4.インクルーシブ教育を通常学級で実現する上での課題
―SENを有するAさんの事例を通じて―
石垣雅也(近江八幡市立岡山小学校)
自由研究発表3 (3号館5階 3508教室)
座長 樫木暢子(愛媛大学)
中山忠政(弘前大学)
1. 1970年代から2010年代の特殊/特別支援教育行政における言説の変容
―課発行誌の経年分析から―
浜えりか(名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士後期課程)
2. 情緒障害児短期治療施設設立時の社会状況
―少年非行をめぐる各領域の力学―
古殿真大(名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士後期課程)
3.自閉スペクトラム症幼児の発達支援に関する研究動向からみる発達的視点の課題
権明愛(十文字学園女子大学教育人文学部)
4.特別支援学校における不登校の現状と課題
岡ひろみ(花園大学社会福祉学部)
5. 条約第24条第1項b号を、どのように理解すべきか?
―「能力をその可能な最大限度まで発達させること」とは―
中山忠政(弘前大学教育学部)
自由研究発表4 (3号館5階 3506教室)
座長 田部絢子(金沢大学)
戸田竜也(北海道教育大学)
1. 学校における理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の役割及び教員との連携上の課題
―インクルーシブ教育推進のための多職種連携体制構築に向けて―
〇木村柊里(筑波大学人間総合科学学術院人間総合科学研究科博士前期課程)
米田宏樹(筑波大学人間系)
2. 発達障害傾向のある高校生の内在化問題と養護教諭の対応
―北海道2地区の調査から―
戸田竜也(北海道教育大学教育学部釧路校)
3. 専門学校における発達障害特性のある学生の困難さと支援
―学生を対象とした縦断質問紙調査より―
齊藤彩(お茶の水女子大学基幹研究院)
4. 発達障害等の食の困難を有する子ども・家族の実態と発達支援の課題
―全国の保健所・保健センターの栄養職員調査から―
〇田部絢子(金沢大学人間社会研究域)
髙橋智(日本大学文理学部)
自由研究発表5 (3号館5階 3502教室)
座長 別府悦子(中部学院大学)
池田敦子(東海学院大学)
1. なぜ特別支援学級・学校在籍児は増加するのか
―固定効果モデルを用いた多変量解析―
〇松田華織(神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士後期課程・日本学術振興会特別研究員)
生田邦紘(神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士後期課程・日本学術振興会特別研究員)
松本伊織(神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士後期課程)
中谷響 (神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士前期課程)
赤木和重(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)
2. 重症心身障害児の授業づくり
―学習グループ編成と授業展開―
尾添信枝(元養護学校教諭/臨床発達心理士)
3.肢体不自由特別支援学校における音楽と映像を統合したICTシステムによる音楽体験
―ICT機器を活用した音楽体験の可能性についてー
岡田信吾(就実大学教育学部)
4. 視覚障害教育における卒業後のキャリア発達を見据えた長期的な支援体制の在り方
―卒業生の実態、ニーズの実態の把握と有効な支援の在り方―
刀禰豊(岡山県立岡山東支援学校/チーム響き)
ラウンドテーブル 10月19日(土) 12:40~14:30
ラウンドテーブル1 3号館5階 3507教室
「境界知能(ボーダーライン知的機能)」を有する子ども・若者の困難の実態
と発達支援の課題─教育・福祉・医療から考える─
企画趣旨 「境界知能(ボーダーライン知的機能)」とは診断名ではなく、一般的に「知的障害(知的発達症)」と診断されてはいないが、学校や就労・社会生活において学習・対人関係・環境適応等において各種の困難や生きづらさを抱えており、しかし「知的障害(知的発達症)」ではないために、特別な配慮や支援から除外されている方に対する通称である。「境界知能(ボーダーライン知的機能)」は気づかれないことも多く、周囲の無理解・いじめや子ども本人の自己肯定感・自尊感情の低下・傷つきから、精神疾患・不適応・非行等の二次的障害になる可能性も指摘されている。
「境界知能(ボーダーライン知的機能)」の問題は、知的障害教育の古典的かつ現代的命題である。かつて、知能検査で1標準偏差低い「IQ71以上85未満」の「境界知能(ボーダーライン知的機能)」が、知的障害(当時の用語では「精神薄弱・精神遅滞」)に組み込まれていた時代もあった。正規分布に基づく理論値上において約14%が「境界知能(ボーダーライン知的機能)」に該当すると想定されるが、近年の急速な情報化等の社会変貌や不況・貧困・コロナ禍等の社会不安のなかで、子ども・若者の「生きづらさ」「不適応」の背景要因の一つとして浮上し、再び注目されているのが「境界知能(ボーダーライン知的機能)」の問題である。
企画者 髙橋 智(日本大学)・田部絢子(金沢大学)・池田敦子(東海学院大学)
司会者 田部絢子(金沢大学)・内藤千尋(山梨大学)
話題提供者
池田敦子(東海学院大学):学生支援から見た「境界知能(ボーダーライン知的機能)」を有する学生の困難の実態と発達支援の課題―生きづらさを抱える大学生の事例から―
野本実希(近江兄弟社高校スクールソーシャルワーカー):高校における「境界知能(ボー
ダーライン知的機能)」を有する子ども・若者の困難と福祉的支援
古荘純一(青山学院大学):「境界知能(ボーダーライン知的機能)」を有する子ども・青年
の精神医学的困難と支援
指定討論者 楠 凡之(北九州市立大学)
ラウンドテーブル2 3号館5階 3501教室
子どもは現在もコロナ禍の最前線にいる
―コロナ禍と子どもの発達困難・リスクの研究―
企画趣旨 本ラウンドテーブは、パンデミック発災から5年目の現在、子どもたちが直面している発
達困難・リスクを具体化し、それに対する発達支援の課題について検討するものである。 第一報告の能田昴氏には共同研究「コロナ禍と子どもの発達困難・リスクの研究─子どもは現在もコロナ禍の最前線にいる─」の研究成果と課題について報告していただく。 第二報告の石塚一枝氏には国立成育医療研究センター社会医学研究部と「コロナ×こども本部」によるCOVID-19流行が子どもに与える影響についての継続的な調査研究の成果から、コロナ禍における子どもの生活と健康問題の実態と支援のあり方について報告していただく。第三報告の山野則子氏にはコロナ禍における子どもへの影響と支援方策の横断的調査研究の観点より、コロナ禍に伴う子どもの貧困・格差問題と包括的支援の課題について報告していただく。指定討論は病弱教育研究者・小児科医師として、感染症災害における健康危機管理と特別支援教育の関係にも着目されている西牧謙吾氏にお願いした。
企画者 能田昴(秋田大学)・田部絢子(金沢大学)・髙橋智(日本大学)
司会者 髙橋智(日本大学)
話題提供者
能田昴(秋田大学教育文化学部):共同研究「コロナ禍と子どもの発達困難・リスクの研究─子どもは現在もコロナ禍の最前線にいる─」の研究成果と課題
石塚一枝(国立成育医療研究センター社会医学研究部):コロナ禍における子どもの生活と健康問題の実態と支援のあり方
山野則子(大阪公立大学現代システム科学研究科):コロナ禍に伴う子どもの貧困・格差問題と包括的支援の課題
指定討論者 西牧謙吾(日本大学文理学部)
ラウンドテーブル3 3号館5階 3506教室
子どもたちの主張
―多様な学び方について、子どもたちが伝えたいこと―
企画趣旨 近年、不登校児童生徒が増加し、文科省から令和4年に緊急対策が通知されている。国連は「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」としている。そこでフリースクールを選んだ子どもたちに、彼らが求める教育について聞き取る。また、フリースクール及び不登校児童生徒に関わる教育関係者から不登校問題やあるべき教育条件について意見をいただき、フロアの参加者に子どもの事実に即した教育のあり方を考えて欲しいと思う。
企画者 寺門宏倫(茨城県立つくば特別支援学校)
司会者 寺門宏倫(茨城県立つくば特別支援学校)
話題提供者
仮名A(こどもとつくる学校でんでん利用者)
仮名B(こどもとつくる学校でんでん利用者)
仮名C(こどもとつくる学校でんでん利用者)
仮名D(こどもとつくる学校でんでん利用者)
阿部法子(こどもとつくる学校でんでん代表)
小野村哲(NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所元理事長)
指定討論者 寺門宏倫(茨城県立つくば特別支援学校)
ラウンドテーブル4 3号館5階 3508教室
「学校で働くということ」とはどういうことなのか
―学校、教師の仕事の魅力とは何か―
企画趣旨 学会理事会に研究委員会社会貢献WGができて2年になります。このWGは、これまで学会が積み上げて来た研究成果を、学校現場で苦戦する教員やこれから教員を目指そうとする学生達に伝え、夢と希望と勇気を持って実戦や研究に励む力にしていただけることをめざして活動しています。今回は「学校で働くということ」とはどういうことなのかをテーマとし、教員として学校現場で働いた経験を持つ二人の理事が、学校の外から今の教育現場を見て、見えること、何が大変なのか、そしてなぜ苦しいのか、さらに子どもたちにとって必要な学校とは何かを考えるラウンドテーブルとします。
企 画 菊地信二(北海道幕別町保健福祉部福祉課)
話題提供 森定 薫 (ピア・サポートセンターおかやま)
話題提供 菊地信二(北海道幕別町保健福祉部福祉課)
指定討論 松崎保弘(くらしき作陽大学子ども教育学部)
ラウンドテーブル5 3号館5階 3509教室
「声」から再考する特別支援教育
企画趣旨 特別支援教育を子どもや保護者、実践者の「声」から検討する。
企画・話題提供 戸田竜也(北海道教育大学教育学部釧路校)
司会・話題提供 田中雅子(北海道教育大学教育学部釧路校)
話題提供 小野川文子(北海道教育大学教育学部釧路校)
指定討論 赤木和重(神戸大学大学院人間発達環境学研究科)
ラウンドテーブル6 3号館5階 3510教室
病院内教育における子どもの内面世界の表出を支える教師の役割と意義
―作品展「東京の病弱教育の主人公たち」の取組から―
企画趣旨 入院中の子どもの教育的ニーズに応える支援とは学習支援のみではない子ど
もが、不安・葛藤・混乱なども含む自らの内面を表出できるよう支援することも重要なことと考えている。そのためには、子どもが友人や教師との関係性を深め、意欲的になれる活動の場を教師は意識的に作り出していくことが必要ではないだろうか。本企画では、作品展「東京の病弱教育の主人公たち」に収められている子どもの作品紹介および作品が生まれた過程や背景をふりかえりながら、こうした取り組みの重要性と教師の役割・意義について考えていきたい。
企画・司会者 栗山宣夫(育英短期大学)
話題提供者 斉藤淑子(全国病弱教育研究会)・
高橋陽子(全国病弱教育研究会)
大会準備委員会シンポジウム
10月19日(土) 14:35~17:05 3号館5階 3505教室
特別ニーズ教育と福祉・医療との結節点
企画趣旨 日本特別ニーズ教育学会は「特別ニーズ教育に関する理論的・実践的研究を通して、学習と発達への権利に関する教育科学の確立を期する」(会則第3条)を目的に、これまで各研究大会において準備委員会シンポジウムを企画・開催してきた。今年度研究大会では「特別ニーズ教育と社会福祉・医療との結節点」をテーマに、特別ニーズ教育実践と不可分な関係にある社会福祉・医療との関係性に焦点をあてて、議論を進める。
この社会福祉・医療との結節点は、「教育的ニーズそのものをどう捉えるかと同時に、学校教育において生じる福祉的あるいは生活上のニーズや医療・保健的ニーズとの関係を整理する必要」(髙橋,2022,19)があるという特別ニーズ教育研究の課題に迫る視座であると同時に、特別ニーズ教育の対象者の地域生活を保障し、豊かにしていくための実践的課題を問うことにもつながる視座といえる。本シンポジウムは特に社会的養護、里親、医療機関での支援の取り組みに関する話題提供を行い、学習と発達への権利に基づいた今後の特別ニーズ教育と社会福祉・医療のあり方を考えることとする。
司 会:田中謙(日本大学文理学部教育学科)
話題提供:田中謙(日本大学文理学部教育学科)社会的養護下にいる幼児児童生徒・学生に対するキャリア支援に係る特別ニーズ教育と社会福祉―進学支援制度の現状と課題に焦点をあてて―
高石啓人(日本大学文理学部社会福祉学科)里親と学校の連携に関する検討
西牧謙吾(日本大学文理学部教育学科)学校教育から見た不登校という現象―不登校外来から
見た世界―
【懇親会】
10月19日(土)18:00~19:50 居酒屋「たつみ本店」(日大通り商店街)
大会初日の19日(土)の夕刻には懇親会を開催します。日本大学文理学部から徒歩5分、文理学部御用達で教員・学生の日常的なたまり場でもある居酒屋「たつみ本店」(日大通り商店街)で行います。昭和の香り満載の居酒屋で大いに交流したいと考えております。会場の関係で先着60名限定です。お早めの申し込みをお願いいたします。原則としてキャンセルはできませんのでご了承ください。
会 場:たつみ本店(世田谷区赤堤5-31-1 03-3324-9175)
道 順:キャンパス正門を出て、右手、京王線下高井戸駅へ向かいます。途中、日大通り商店街の中ほど、小学校と交番のはす向かいに「たつみ」本店はあります(徒歩5分)。
参加費:4,000円 事前予約/当日大会受付にてお支払をお願いします(現金のみ)。
右画像 http://ctkr.seesaa.net/article/406731991.html
2024年10月20日(日)
自由研究発表Ⅱ 10月20日(日) 9:00~10:50
自由研究発表6 (3号館5階 3510教室)
座長 石井智也(兵庫教育大学)
船橋秀彦(福祉型専攻科シャンティつくば)
1. 田村肇の思想と実践
―大阪市中大江東尋常小学校の「特別学級」と大阪市思斉学校での取り組みに着目してー
〇磯﨑加奈予(芦屋大学大学院教育学研究科博士後期課程)
阪本美江(芦屋大学臨床教育学部)
2. 総力戦・戦時動員体制下の女子生徒の利用厚生・母体保護と高等女学校の教育
〇石井智也(兵庫教育大学学校教育研究科)
髙橋智(日本大学文理学部)
3. 優生保護法の地域実態に関する研究(2)
―宮城県優生保護審査会の実態―
船橋秀彦(福祉型専攻科シャンティつくば)
4. ポルトガルにおけるインクル-シブ教育の展開Ⅴ
―現職研修を支える手立ての検討―
〇德永亜希雄(横浜国立大学教育学部)
田中浩二(至誠館大学現代社会学部/のあ保育園)
自由研究発表7 (3号館5階 3509教室)
座長 松崎保弘(くらしき作陽大学)
渡邉流理也(新潟大学)
1. 知的障害児における量の大小判断の学習過程に関する研究
宮崎仁美(金沢大学大学院教職実践研究科・石川県立明和特別支援学校)
2. 小学校道徳科における発達障害のある児童への道徳科評価上の工夫
青木利樹(栃木県那珂川町立小川小学校・東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科博士課程)
3.主体的な学びや思考を促す特別支援学級国語科の授業実践
―ICT機器を活用し、有効性を図る―
奥山俊志哉(埼玉県和光市立白子小学校教諭)
4. 大規模言語モデルを用いた指導計画作成のあり方
寺門宏倫(茨城県立つくば特別支援学校)
自由研究発表8 (3号館5階 3508教室)
座長 堤英俊(都留文科大学)
阪本美江(芦屋大学)
1. 高校生及び発達障害当事者の本人調査から探る「見ることの困難」と発達支援の課題
〇吉井こころ(石川県立いしかわ特別支援学校)
髙橋智(日本大学文理学部)
田部絢子(金沢大学人間社会研究域)
2. 「特別な教育的ニーズ」を有する色弱の園児への合理的配慮に向けた調査研究
阪本美江(芦屋大学臨床教育学部)
3. 教師が認識する児童の「気になる」行動の生起要因と問題意識との関連
―小学校教員への半構造化面接より―
古村真帆(岐阜大学教育学部)
4. 共同研究(2)インクルーシブ教育の実践的研究:中学1年で平仮名の読み書きが困難だったAのPCローマ字入力学習から高校に入学するまで―Aの人格的成長の軌跡―
〇横江真理子(NPO法人SKCキッズカレッジ)
加茂勇(新潟市立木戸小学校)
石垣雅也(近江八幡市立岡山小学校)
深川美也子(NPO法人SKCキッズカレッジ)
窪島務(滋賀大学名誉教授)
自由研究発表9 (3号館5階 3506教室)
座長 内藤千尋(山梨大学)
武井哲郎(立命館大学)
1. 教職員のメンタルヘルス対策に関する実態と支援の課題
一全国都道府県・政令指定都市教育委員会調査を通して―
〇竹澤沙希(福井県福井市立中藤小学校)
高橋智(日本大学文理学部)
田部絢子(金沢大学人間社会研究域)
2. 校長等から見たスクールソーシャルワーカーとの連携
高石啓人(日本大学文理学部)
3. 生徒指導提要(改訂版)と特別支援教育の狭間に立って考える
―特別支援教育コーディネーターとしての実践から―
日高浩一(東京都立中野特別支援学校)
4. 発達上の課題・困難を有する少年院在院者の処遇のあり方(基礎的環境整備・合理的配慮)に関する検討
〇内藤千尋(山梨大学大学院総合研究院教育学域)
田部絢子(金沢大学人間社会研究域)
髙橋智(日本大学文理学部)
若手チャレンジ研究会2A
10月20日(日) 9:00~10:50 3号館5階 3502教室
座長 栗山宣夫(育英短期大学)
1. 知的障害特別支援学校高等部における主権者教育のカリキュラム研究
―教師の語りから見る現状と課題―
相馬慈(秋田大学教育文化学部4年)
コメンテーター 米田宏樹(筑波大学)
2. 離島地域における早期発達支援の動向と課題に関する研究
―長崎県調査を中心に―
荒木優芽(長崎大学教育学部特別支援教育コース4年)
コメンテーター 小野川文子(北海道教育大学釧路校)
3. スコットランドにおけるインクルーシブ教育
―子どもの権利概念に焦点を当てて―
小林紗也(名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士前期課程1年)
コメンテーター 羽山裕子(滋賀大学)
4. 保育者は「ボーッとしている子」をどのように理解しているか
―保育者のインタビューを通して―
森山徹(神戸大学大学院人間発達環境学研究科博士課程前期1年)
コメンテーター 髙橋幸子(國學院大學)
若手チャレンジ研究会2B
10月20日(日) 9:00~10:50 3号館5階 3501教室
座長 山中冴子(埼玉大学)
1. 発達障害における視覚空間スキルの特異性に関する理論的検討
―ASDとADHDにおける視覚空間スキルの比較分析を通して―
関口大介(筑波大学人間総合科学学術院人間総合科学研究科博士前期課程1年)
コメンテーター 赤木和重(神戸大学)
2.高等学校における知的障害生徒インクルージョンの特質と可能性
―参加の視点による先進事例の比較分析から―
細川剛(東北大学大学院教育学研究科博士課程前期2年)
コメンテーター 内野智之(東海学院大学)
3.「学校―地域連携」の推進に必要なコア人材と推進ステージに関する研究
―A 特別支援学校を支える団体の防災教育を手掛かりに―
山本寛子(東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程2年)
コメンテーター 能田昴(秋田大学)
4.外国にルーツをもつ子どもの困難・ニーズの実態と支援課題
―兵庫県 A 市でのベトナムにルーツをもつ子どもに関するインタビュー調査を通して―
小峰咲季(兵庫教育大学大学院学校教育研究科修士課程2年)
コメンテーター 伊藤駿(京都教育大学)
学会設立30周年記念シンポジウム
10月20日(日) 12:15~14:05 3号館5階 3505教室
なぜ日本特別ニーズ教育学会を設立したのか
―学会創設のレジェンドが語る―
企画
髙橋智(日本大学文理学部・第30回記念研究大会準備委員長・学史WG長)
司会
黒田学(立命館大学産業社会学部)
米田宏樹(筑波大学人間系)
話題提供
窪島務(滋賀大学名誉教授)
荒川智(茨城大学名誉教授)
髙橋智(日本大学文理学部)
指定討論
石川衣紀(長崎大学教育学部)
課題研究シンポジウム
10月20日(日)14:10~17:00 3号館5階 3505教室
当事者の視点から探る知的障害者の「学び」の本質と知的障害教育の課題
企画
田部絢子(金沢大学人間社会研究域)
司会
田部絢子(金沢大学人間社会研究域)
堤英俊(都留文科大学教養学部)
話題提供
信田敏宏(国立民族学博物館グローバル現象研究部教授・ゲストスピーカー)
柴田保之(國學院大學人間開発学部教授・ゲストスピーカー)
船橋秀彦(福祉型専攻科シャンティつくば)
当事者A(高齢者施設職員・短期大学卒業・療育手帳所持・ゲストスピーカー)
当事者B(一般企業社員・4年制大学卒業・療育手帳所持・ゲストスピーカー)
指定討論
松崎保弘(くらしき作陽大学子ども教育学部)
髙橋智(日本大学文理学部)
企画趣旨
髙橋ほか(2020)が行った知的障害特別支援学校高等部卒業生のニーズ調査では「社会で通用する基本の学力、生活上の知識技能を学習課題として十分に身につけたかった」「卒業後ももっと勉強がしたかった」「卒業後には就労するのではなく、もう少し勉強がしてみたい。大学に行ってみたいと思ったこともあった」等のように、知的障害当事者からは学びや進学に関わるニーズが多く示されている。
さて、教育心理学者の柴田(2020)は、これまで発達の遅れや認知機能の「欠陥」などと捉えられてきた「知的障害と呼ばれる現象」について「知的障害は表現に関わる障害が中心であり、知的障害者と呼ばれる人々の内面には、私たちと何ら変わることのない心の世界が広がっている」ことを示しながら、「当事者の言葉が顧みられないということは、当事者にとっては、基本的人権の一つである表現の自由が奪われていること」でもあると厳しく指摘している。
牧野(2016)が言及するように「障害のある者はまず職に就けるようにすることが第一の教育目的という考えが根底に根強く残って」おり、就労準備に特化した知的障害特別支援学校高等部の教育課程に対して卒業生から「卒業後に社会で通用する基礎基本の学力の習得不足」「大学進学、職業専門学校等に関する進学する選択肢がほとんどない」という厳しい批判が出されている。
文化人類学者の信田(2015・2016・2018)は、ダウン症のある子どもの保護者として国立民族学博物館において知的障害者の学びの場を創出している。その取り組みの背景には「特別支援教育においては『教育』(教え、育てること)により重点が置かれ、学習(知識やスキル、価値観を新しく獲得すること)や学習者の主体性については見過ごされているようにも思われる」(信田:2023)、「現況では、ともすると『知的なことは理解できないだろう』とみなされ、『知的障害』という言葉が一人歩きし、その言葉に囚われ、保護者も教育者も知的障害者に対して学習を進める意欲を失っているのではないだろうか」(信田:2020)という信田の知的障害教育に対する強い批判意識がみられる。
知的障害当事者の保護者からも知的障害の学び・教育に対して、当事者が成長・発達し続ける存在として期待し、積極的な教科学習を求める声も挙げられている。知的障害者の保護者であり支援者でもある津川(2020)は「発達障害や知的な遅れをもっている子どもが、通常学級でやっていくには『困難』が多い」が「その子どもの困難に真正面から向き合い、子どもたちの意識を『自分たちにもできるかもしれない』という気持ちに変えてくれる先生、友達の存在が不可欠である」と指摘する。
髙橋ほか(2020)が述べるように、これまでの知的障害教育は「『知的障害により制限を受ける教育』であり、そのために訓練主義・社会適応主義の教育へと矮小化されてきたきらいがある。本来は、知的障害による機能・発達の制約に対する発達支援を行いつつ、子ども・若者が発達的に自立していくために必要な学びであり、ある先達が言うように本来的に『人間的価値の実現』(三木:1966)をめざす教育である」。人としての根源的ニーズである「自分らしくありたい」という知的障害当事者のねがいは「インクルーシブなもの」であり、ゆっくりと成長・発達し続ける存在を十分に理解し、彼らの「学び」を生涯発達支援として保障していく必要がある。
以上の動向をふまえ、本シンポジウム「当事者視点から探る知的障害者の『学び』の本質と知的障害教育の課題」を設定した。知的障害当事者の声、言葉にならない想いや内面世界をふまえながら知的障害当事者の「学び」の本質を捉え直し、人としての根源的ニーズである「自分らしくありたい」という知的障害当事者のねがいを共有して、彼らの「学び」を生涯発達支援として保障していくための知的障害教育の課題について検討する。
革新的な研究・実践に取り組む専門家と当事者の方々をゲストスピーカーにお迎えし、指定討論には知的障害教育を専門とする松崎保弘氏と知的障害概念の歴史的研究を専門とする髙橋智氏にコメントをいただき、フロアの皆様とともに議論を進めていきたい。
なお、本シンポジウムの議論とあわせて、『SNEジャーナル』30巻1号の特集「当事者視点から探る知的障害者の『学び』の本質と知的障害教育の課題」をご覧いただきたい。
閉会セッション
10月20日(日) 17:05~17:30 3号館5階 3505教室
司 会: 田中謙(準備委員会事務局長・日本大学文理学部)
準備委員長閉会挨拶 髙橋智(日本大学文理学部)
優秀発表賞発表・授賞式 松崎保弘(くらしき作陽大学子ども教育学部・研究委員長)
次期開催校挨拶
学会代表理事挨拶 田部絢子(金沢大学社会人間研究域)