沿革

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沿革

平成5年 1993年 10月1日〜3日

  • 日本特殊教育学会第31回大会(福井大学)におけるワークショップ「障害児教育学研究の最前線と最先端」(企画:髙橋智、渡邉健治)の開催。一般教育学と障害児教育学とのギャップを埋めるためにはどのようにすれば可能であるのか、現行の特殊教育制度改革の課題などについて、熱をおびた活発な議論が展開された。
  • 話題提供は、
     ①窪島努(滋賀大学)「障害児教育学と『一般教育学』との間のギャップにどう橋渡しをするべきかー教育学における障害児教育学の今日的な位置と役割ー」
     ②渡部昭男(鳥取大学)「障害児教育行政の動向と課題」
     ③田中良三(愛知県立大学)「学習障害児教育研究と教育実践の動向」
     ④渡邉健治(東京学芸大学)「障害児教育課程研究の動向」
     ⑤岡田英己子(日本社会事業大学)「ドイツ治療教育学説史研究の動向」
     ⑥冨永光昭(大阪教育大学)「ドイツ語圏におけるハインリッヒ・ハンゼルマン研究」
     ⑦髙橋智(日本福祉大学)「日本障害児教育研究の課題と展望」等である。

平成6年 1994年 3月25日〜26日

  • 合宿研究交流会「障害児教育基礎理論研究会」が開催される(日本福祉大学、呼びかけ人:窪島務・髙橋智、参加者16名)。
  •  研究報告は、
     ①窪島務「’Special Educational Needs’とインテグレーションに関する国際的な議論の動向―理論的『おもしろさ(actual)』の『おもしろい(active)』研究を―」
     ②渡邉健治「ロシア知能遅滞児教育史の研究」
     ③伊藤寿彦(一橋大学大学院)「障害児教育の社会史の方法論について」
     ④荒川智(神奈川県立衛生短期大学)「ナチス初期障害児教育改革論の検討―その内実と歴史的意味―」であった。
  •  この合宿研究交流会において、呼びかけ人の窪島務・髙橋智から「インテグレーション教育学会(仮称)」の設立が提案された。その設立趣旨について「真の障害児教育理論」「障害児者を権利主体、教育権の主体とする立場からの教育理論の探求」「社会的視点を重視し、浅薄な実証主義的・没価値的立場をとらない」「教育実践研究を教育学研究の正当なテーマとして、その研究方法論を深める。教育実践研究を定量的、似非客観主義的方法に封じ込めるやり方を批判し、教育実践の科学を確立することを目指す」「現代的テーマに大胆に取り組み、荒削りではあっても斬新な研究、新しい方法論的な試みを促進する」ことなどが活発に議論された。

平成6年 1994年 8月24日~26日

  • 日本教育学会第53回大会(東北大学)におけるラウンドテーブル「学習困難児(Children with Learning Difficulties)教育問題の国際的動向と日本の課題」が開催される(企画者:窪島務・髙橋智・渡邉健治)。「学習困難」の概念を軸としながら、障害児教育が通常の教育との協同・連携的関係の確立を図りながら、両者の「谷間にいる子どもの問題」にどのように接近して対応していくのかということが意図された。
  • 話題提供は、
    ①渡邉健治「ロシアの心理発達遅滞児教育問題」
    ②清水貞夫(宮城教育大学)「子どもの学業不振状態は通常教育および障害児教育分野で如何に議論されてきたか」
    ③窪島務「ドイツにおける学習困難児問題」であった。
  • このラウンドテーブルの場において、4人の世話人(清水貞夫・窪島務・渡邉健治・髙橋智)の名前で「インテグレーション教育学会(仮称)」の結成への呼びかけが行われた(8月24日)。

平成6年 1994年 9月15日~17日

  • 日本特殊教育学会第32回大会(明治学院大学)においてワークショップ「障害児教育学研究の最先端問題(企画:髙橋智・渡邉健治・窪島務)を開催するとともに、山口薫・野口明子・金子建氏ら明治学院大学の学会実行委員会のご支援・ご配慮により、会場をお借りして、日本特殊教育学会第32回大会の最中に「特別な教育的ニーズとインテグレーション学会」設立準備総会を行った。
  • ワークショップの話題提供は、
    ①湯浅恭正(香川大学)「通常学校における『特別なニーズ』を持つ子どもとの共同の教育実践論」
    ②稲富眞彦(高知大学)「障害児教育学における訓育と陶冶の関係」
    ③河相善雄(兵庫教育大学)「地域療育経営に関する課題」である。
  • 学会設立準備委員会 代表:清水貞夫、学会設立大会担当:渡邉健治、学会誌担当:窪島務・渡部昭男、研究集会担当:荒川智、事務局長:髙橋智、事務局:河相善雄・伊藤寿彦
  • この時期、「インテグレーション教育学会(仮称)」の準備過程において「サラマンカ声明」が出されたのは偶然ではあるが「インクルージョンと特別ニーズ教育」の促進という方向性はまさに必然であり、「サラマンカ声明」は「特別な教育的にニーズとインテグレーション学会」設立準備を大きく後押しした。

平成6年 1994年 11月23日

  • 東京学芸大学において学会設立準備委員会による第1回研究集会「『障害』概念を考える―学習障害、軽度MR、ノンカテゴリーと診断論―」(参加者60名)の開催がなされた。
  •  シンポジスト・話題提供は、
     ①窪島務「SEN概念についての批判的考察―国際的な議論から―」
     ②清水貞夫「学校システム内での障害カテゴリーのあり方」
     ③茂木俊彦(東京都立大学)「『障害」概念を考える」。

平成7年 1995年 6月10日

  • 東京学芸大学において学会設立準備委員会の第2回研究集会「日本における特別なニーズ教育の可能性と具体化」(参加者100名)、翌6月11日に「大学院生・若手研究者セミナー」(参加者25名)が開催された。
  •  第2回研究集会の提案者は、
     ①荒川智「日本における特別なニーズ教育の可能性と展望」
     ②高橋晃(目黒区立五本木小学校)「東京都の心身障害教育の現状と課題」
     ③豊田康夫(多摩市立北永山小学校)「特別なニーズ教育の構想と具体化」

    であった。

平成7年 1995年 11月25日〜26日

  • 東京学芸大学にて「特別なニーズ教育とインテグレーション学会第1回研究大会(設立大会)」(参加者約260名)が開催された。
  • 本学会の最初の研究大会。


SNE学会第1回研究大会(設立大会)

1995(平成7)年11月25日-26日に行われた
第1回研究大会(設立大会)の様子

※本沿革は、髙橋智(2022)四半世紀前の学会設立期をふりかえる―まえがきにかえて―、髙橋智・加瀬進(監修)・日本特別ニーズ教育学会(編)『現代の特別ニーズ教育』文里閣、pp.3-9。に基づき作成いたしました。第一回大会の写真資料も髙橋智教授にご提供頂きました。